2014年07月28日

落ち穂、最終回。「母のしまくとぅば」

落ち穂、最終回。「母のしまくとぅば」

6/26(木)琉球新報コラム「落ち穂」
かみしばいや~の最終回が掲載されました。

全文ご紹介します。
ぜひ、ご覧ください。

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母のしまくとぅば


【戦争で亡くなった友へ】

いくさ世(ゆ)ぬたみに

あたら花 散らち

先(さち)なたる 友(どぅし)小(ぐゎ)ぬ

肝(ちむ)にかかてぃ

五十一年ぬ月日(ちちひ)

忘(わし)てぃ 忘(わし)らりみ

先(さち)なたる 友(どぅし)小(ぐゎ)ぬ

肝(ちむ)にかかてぃ



戦争のために

たった一つの命を散らし

先立った友だちの顔を

思い出すたびに胸が痛む

五十一年の月日がたとうと

忘れることなんかできない

先立った友だちの顔を

思い出すたびに胸が痛む



【孫たちへ】

年寄(とぅすぃ)の暮し

楽しさやあしが

手墨(てぃしみ)学問(がくむん)ぬ

習(なれー)ぬ不足(ふすく)

ちばりよやー孫(うまが)

学問(がくむん)や宝

進(しし)でぃ行(い)く 御世(ぐじしぃ)に

遅(うく)りとぅるな



年を取ってからの暮らしは楽しいけれど

若いころに勉強ができなかったのが心残り

孫たちよ

学問は宝だよ

進んでいく世の中に遅れをとらないように

しっかり学問に励むんだよ

(二作品とも、平成八年作)
標準語対訳:佐渡山安博


これは今年の1月、94歳の天寿を全うした母が遺した琉歌です。
(育ての母にあたります。実母はまだ健在です。)

生前には、誰かに自分が書いた琉歌を見せたり、詠んだりしたことなど一度もありません。
何かの時に家族に見せなさいと姉に託していたものでした。

小さなメモ用紙に、鉛筆書きの力強い文字で綴られていた、母の生涯の最高傑作です。

皆さまの心にもお留置きいただけると幸いです。


いつも心にしまくとぅば。
ゆがふたぼーり。
またやーさい。

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